腫瘍
姉の旦那さんのお父さんにガンが見つかったようだ。
肺から脳へ転移したようだ。
詳しいことはそこまで聞いていないが、かなり悪いんじゃないだろうか。
ガンとは転移性を持つ。
肺から転移したってことは、リンパとか循環機関に乗ったってことなんだよな。
ってことは全身への転移もかなり可能性が高いんだろう。
俺からすれば結構遠縁になってしまうのだが
姉からすれば義理の父親だ。
なんというか、姉の立場に経つとやりきれないな。
2年前にばあちゃん、1年前に母親、今年は義理の父親がガンで命を脅かされているのか。
子どももダメだったりして、何かこう、雪崩式でバンバン飛んできて平静を保っていられるんだろうか。
わからん、わからんのだけど、たぶん1年もたないんじゃないだろうか。
まだ若い。
旦那さんの親父さんは、会社の社長さんで。
韓国から単身乗り込んできて日本で事業を興して、ハーレー載ったりとかしてる
ワイルド系の親父さんだ。
俺はほとんど会話したことはないが、結構やり手な人のようだ。
姉の旦那さんはいずれこの会社を継承することになるのだろうけど(本人は嫌がってるけど)
こんな時に亡くなられたら、なんていうか、何がどうなっていくんだろうか。
肺から脳か。
うちの母ちゃんの場合は、肺ガンがリンパに転移しているかいないのかの境界だった。
転移していればアウトだし(それこそあと1,2年でまた発症して死んでもおかしくない)
していなければ、いわばなんていうのか、何もなかったような状態になる。
今後10年20年生きることも可能だしっていう感じだろうか。
だからこそ俺は、この今をどう捉えればいいのかよくわかっていないから
だからこう、焦るし、だから動き方がわからなかったりするし。
でも、脳に転移しているっていうのは・・・
それはもう、完全に全身に回っているような状態だろうか。
ステージ4、絶望といってもおかしくないような。
余命は2年と言われているらしいが、どうにもこうにもな。
変な話しさ、ガンって超現実主義的展開でさ。
余命も宣告されて全身に転移してても結構長生きしてる人とかいるじゃん。
そういう人ってやっぱレアケースでさ。
そういう人の話が伝説のように語り継がれて、それにすがってみたくはなるんだけど
その何倍も、当たり前のように余命通り、余命宣告よりも早くにガンに殺されているはずなんだよね。
母ちゃんの場合で言ったらさ、5年生存率30%っていうのはさ
いっちゃえばあれだよ。同じ症状の人が10人いれば、7人は再発して5年以内に死んじゃってさ。
運のいい1人か2人は、そのまま発症せずに生きているって感じなんだよね。
親父さんの場合はさ、もうたぶん、希望の余地が無いんだよな。
だって転移しちまってんだもん。
世知辛い。
ただ聞けば、結構前から記憶が飛んでたり視界がぐらついたりしていても医者へ行ってなかったらしい。
あの親父さんの性格的にはさ、もしかしたらわかっていたのかもしれないなぁなんて親父は言っていた。
50年以上生きてきたおっさんにしか見えない世界があるのかもなぁ。
でもやっぱり思っちゃうわけ。
韓国から単身で日本にぶっ込みかけて事業興してさ。
そこでやり抜いていくなんて生半可な覚悟じゃ出来ないわけじゃん。
じゃあそんな覚悟をした果てに何を望んでいたのよって思うのよね。
たぶんそれはさ、何かこう、のんびりした老後だったりするんじゃないの?って思ったりするわけ。
俺がそうだもの。のんびり孫とかに囲まれて平凡にだらだらした老後とかが来たらなぁって思うわけさ。
早死するなら別だよ?でもがんばってがんばってがんばってさ、50代とかまできて
もう後少し、もう後目前ってところでこういう展開ってさ。
やっぱり聞くだけでやるせなくなるなるんだよな。
本人は何を思ってるのかは知らんよ。
でも俺なら、俺の人生なんだったのかなぁとか思っちゃうはずなんだよね。
親父さんはそんなこと思わないくらい強い人なんだろうけどさ。
こう毎年毎年こんなことが続くとさ、俺もたまに思っちゃうんだよね。
何か俺、40くらいで死んじゃうんじゃね?とか。
命とは重いものだ。
これ以上俺の周りで命を奪うのは辞めてほしいな。
特に近しい人のはさ。