見合

うーむ。友人の結婚式に行ってきた。



中学の頃の友人で、バスケ部のエース、一番うまい奴だった。
何をやらせても出来るやつだった。
面白くていつもクラスの中心、というか学年の中心にいた。
イケメン。

俺が好きだと思う子はみんなこいつに食われた。
麻雀も強い。

バイトをやらせれば、気付いたらまとめ役にいた。
学生時代は店を一つ任されていて日本一の売上にまでしていた。


ベンチャー企業にスカウトされて入って
今はかの有名な別のITベンチャーヘッドハンティングされて(入社1年も経ってないのにw)働いてる。


彼みたいなタイプは、何をやらせても勝ち続けていくのだろう。
勝つために生まれたと言っても過言ではないほどに最強に近い。

気付いたら彼はヲタクになっていたが、それでいてアニメを見ている本数も俺より多いと思うw
ヲタクとしてすら俺は負けているかもしれないな。


すでに年収も俺の倍で効いてないだろう。3倍ある可能性もかなりあるw


彼は実力者であって、それでいて俺みたいなタイプにも優しい。
というか、出来ない人間の気持ちをどこかで理解している。


それを僕は今も不思議に思っているし、そんな彼と何故か友人の、教室の隅でトランプしてた学生時代を過ごしてた自分も少し嬉しい。




彼は僕の中で、はなっから勝ち目のない相手であって
良き友人として、むしろ目標にしている方が気楽だろうとか思ってる。


それくらいに最強な彼は平野綾に激似のかわいい女の子と普通に結婚していったわけで。
お腹の中に赤ちゃんがいるらしい。




ただその裏で、彼は尋常じゃないほど努力をしているのはわかっているし、それは俺には出来ない。
彼が朝六時から十二時くらいまで、東京で社会人としてバリバリ働いてる裏で
俺は新潟で「五時過ぎて仕事してられっか!」とか思いながら現実を嘆いてる。




披露宴で本当に泣いてしまった。
彼が親への感謝の手紙を読んだり、おばあちゃんありがとうって言ってたり。
そういうのを見ていると、涙が出てきた。


それは純粋な感動であったし、同時に自分にもこれが出来るだろうか、と思ったときに
もうこの世にいないおばあちゃんを思ったりして泣けたし、親の生きてる間に結婚できるだろうか、とか思ってやっぱり泣けた。


現実は、たぶん9割くらい悔しさで泣いていた気はした。
こいつはどこまでも、俺では届かない圧倒的な位置にいやがるっていう絶望感に泣けてきた。


ただ別に、なんだろう。彼の背負っているものはもちろん重いし
あいつの能力ならそりゃ稼ぐわって、嫉妬も起きないくらいに有能なのだ。



それくらいに絶対的な強者というのは存在する。
努力すればするほど勝ち続ける、絶対的な強者だ。




披露宴も、文句なく感動した。俺も本当に泣いた。マジで泣いてしまった。本当に良い披露宴だった。









ただこの裏で、結婚式の一連の流れを通じて、少しまた何か嫌な感情も抱いた。


彼の学生時代の友人枠として参加したのだが、その友人の素行に少し呆れた部分はあった。
携帯の電源は切れって言われてるのに、携帯のシャッター音鳴らしてパシャパシャ撮るし。
悪ふざけのノリなんだけど、「こういうのやれちゃうのが俺らだよなー」みたいなノリは正直寒かった。
俺らだけなら良いけど新婦は正直溜まったもんじゃないだろうと思う。


披露宴のあと、二次会への移動まで1時間半ほど時間が空いたんだが
麻雀やろうぜみたいな感じになって、二次会には当然遅れていくことになったし。

いくらなんでも新郎の顔潰し過ぎだろって思ったんだけどなぁ。
抵抗したけど同調圧力に屈した俺もいるけどさ。

俺が新郎側なら、これされたら付き合い考えるレベルだなーってちょっと思ったな。
俺も祝儀渡すタイミングが分からずに渡しそびれるっていうウンコっぷり発揮したけどさ。
(もちろんあとでこっそり受付の人に渡したけど)






二次会は二次会でヤバかった。
会社の同期と結婚したからか、二次会に来てた人間が
会社:8割   適当な友人:1割 学生時代の友人:1割って感じで
何も出来なかった。完全に隅っこで一生煙草すってるだけだった。
会社の8割が大騒ぎして残りは何かボーっと隅っこにいるだけだった。


もちろんいろいろ考えた。
いろいろ考えたんだが、ホント何も出来なかった。
その無力感は凄まじかったんだけど、彼の会社のノリが完全についていけるもんじゃなくって
どうにもならなかったというのが正直な感想だった。


アクティブに女にモテまくりの友人も全然何も出来ずに終わってた。
ってなると、あれは別に俺が悪いわけでもないのかなーとか思う。



新婦の友人が幹事だったっぽいけど
事前にビデオレター撮ってくれっていうから撮ったのに俺のカットされてたし
前田君が、彼の親元にわざわざ出向いてビデオ撮ったのに、それも何故かカットされていて、正直なんなんだよって感じだった。

別に二次会の幹事がしたいようにすりゃいいってのが本音だし
これをもってキレるとか彼の顔を潰すことになりかねないから、マジでどうにもならないって感じだったんだけど
流石にあれはひどすぎた。親のビデオレターカットするってなんなんだよって感じなんだよね。




ただまあなんなんだろうなぁ。これが現実っていうか、彼の結婚式において俺らサイドは完全に何も出来なかったっていうのがリアルだろう。
彼と彼女がいちゃついてる写真とかが映像で流れて、会場が「おいおーい!!」「ヒュー!」とかなってる中で
完全にだるいって顔してクラブの隅で煙草吸ってた俺らも大概だったんだけどさ。
俺たちの知らないあだ名で呼ばれている彼を見ながら
学生サイドの友人は、ただただボーっと違う世界を見つめていた。



ただこれだけは言い訳したいんだが、基本的に出席していたのは学生時代でも相当主力メンバー(俺が例外なだけで)であって
決してクラブ貸しきってどうこうとかについていけない人間が集まったわけではないって話なんだ。
明らかに俺たちは蔑ろにされていた。その現実の虚しさがやばかった。


そして2次会幹事の人も大変だろう。だってわかんないもんな。
どんな層が来るのかとか全然わかんないんだからさ。そりゃわかんないよ。これで盛り上がれるし良いじゃんって判断で動くしか無いもんさ。



ただやっぱ・・・あのノリは違うんだよな・・・俺には無理なんだよ・・・
作成されたビデオとかに、学生時代の写真が一枚もなかったのは
俺らサイドが幹事の1メンバーにいなかったが故であるのだろうし
(ただ誰も東京で動けそうなヤツがいないって現実もまたあったわけで)






マジで難しいよなーって思ったな。
友人同士の交流とかホント無理じゃんって思ったもんなぁ。
俺も所属してるコミュニティごとにキャラとかあるわけでさ。
別に作ってるわけでもないけど期待されたロールもあるわけでさ。


家族の前だと落ち着いた知的な末っ子だし、地元じゃただのヤサオだし、中高とかだったら糞ヲタで、同期の前だとおちゃめなキモキャラやっちゃってるわけでさ。ネットだとただの下ネタ野郎なわけじゃん。

別にどれも辛いわけじゃないけど、全サイドが一同に介して全部揃っちまったらどうしたらいいのかわかんないしさ。
そこに新婦サイドまで入り乱れたらマジどうすんのよってなるじゃん。






結婚式って素晴らしいなーと思ったり
無力感を感じたり
友人への幻滅感であったり
二次会は幹事を選ぼうとか、そもそもいるのかって疑問とか。
金はヤバいくらい吹き飛ぶなって現実とか。
何か止めどなく複雑な感情を抱いた四日間だったな。





ただ本当にいい経験をしたなーと思うし、感動できた披露宴を経験したのは素直に嬉しかったなぁ。