友達

俺には10年来の友人がいる。そいつと俺は間違いなくマブダチだし、お互いのことを本気で信用してる。
おまえらにもいるか?そういう本気でお互いの底を見せ合ったダチってやつがさ?





別にそんな話はしたくないから、初オナニーに行き着くまでの話をしようと思う。
といっても、ほとんどはツイッターで小出しにしているので
目新しいことは何も書かない気がする。
子供の性の世界観・エロビデオ購入・オナニー本番という三部構成にしてみた。






僕の小学校は小さい学校で。大体同じ学年は皆見知った顔で。
それは非常に閉鎖的な空気を教室に生み出すことになる。

人数が多い学校のクラス替えというイベントは、違う人と関わり、新鮮な空気を取り込むことによって子どもの世界観を広げることになる。
影響力の強い人間は、極力多くの人間と関わったほうが、いろんなやつの世界を広げる起爆剤になり得るわけだ。

対してうちみたいにクラスが1つ2つしかないと
6年間見知ったメンツばかりで、ずっと同じ顔と時間を過ごし
強烈なキャラ替えや、強烈な成長のしるしを他人に示し辛い空気になる。
昨日も今日も明日も会うのだから、昨日も今日も明日も同じ顔を見せようというのが人間というもの。
小学生ながらに、空気を推し量るという行為を学年中がしていた。
急にエロに対して興味を示すことはいわばご法度であり、「うわぁ、こいつ変態じゃーん!」みたいな空気を出すことになる。


そんな場所に風穴を開け、エロトークを解禁させるのは、いつの世も体育会系男子である。
「俺達は別におまえらにどう思われようとも構わない・・・」 そんなスタンスで彼らは堂々と自分たちのエロに対する意識を隠そうとしない。
自分たちの変化・成長を隠すことなく、むしろそんな自己を誇示するかのようにエロ話をしているのを尻目に
僕はさえない友人とゴエモン2の話したりしていた。


僕は素直に悔しかった。そっちに混ざりたかった。
でも親父の持ってた週刊誌のグラビアの乳首舐めてやったぜ、とか言ったら引かれるんだろうな、とか思って。
言えなかった。
小学生の間、僕は純朴な美少年キャラを守り通した。


ときは流れ中学。僕と同じ中学に行った友人が二人いたけど彼らとは違うクラス。
「ここで僕もエロ話デビューや」と。
この二人と次に会うときには、「俺もこういう話出来るんだぜ?」って空気をまとわせた感じを出してやろうと思っていた。


出し抜いてやるつもりだった。お前らは一生純朴キャラ気取ってダサ坊やってろよと。
俺は先に行くぜと。


だが現実はまあ、どちらかというとそういうのとは遠い、ゲーム好きクラスタとかに所属していて。
実際僕はエロに対しては疎いというか、純粋に知識不足で。
エロ本とかエロビとかも全然持ってなくって。むしろ買ったら逮捕されるとか思ってた部類で。
よく家からめがっさ遠い公園とかまで、エロ本落ちてないかなーって
性に興味の無さそうなメガネボーイの振りをしつつ
股間をギンギンにして自転車で走り回ってたんだけど、実際はエロ本なんてそうそう都合よく落ちてなくって。
実際にそれっぽいのを見つけても、大体がちょっとエロイ匂いがするけど、別にエロくないスーパージャンプとかで。


この段階での僕の性に対する知識は
どうやらオナニーという行為があり、それはイコール精子を出す行為であるということ。
そこで僕の性情報は停滞したままだった。

そんな中、やっぱり体育会系男子は理科の時間、ビーカーを目にして
「お前この中にどんくらい(精子)出せる?」とかそういう話で盛り上がっていた。
僕はそれを尻目に、獣ヶ原でガウに全部のモンスター覚えさせたで!とかそういう話してた。





でも中二になって、いよいよ僕も、流石にこれは不味いと。
僕と同じくさえないヤツらだと思っていたやつも、ちらほらエロ話とか会話の端々に混ぜてくるようになってきてしまったぞと。
こちとらユウナレスカは破廉恥な格好をしてるから、あまり話題に出さないでおこうとか
そんなレベルの気の使い方をしているというのに、こいつらは普通にエロ本の話とかしてしまっていて。
完全に僕は思春期の性から置きざりにされていた。


だがそんな僕も、ここでついに一大決心をした。エロビデオを買おう、と。
通学路に、今は亡きエロ本・エロビデオ専用自販機(場所が場所ならまだあるのかも?)があることを僕は知っていて。

それは小学生の頃から、これはイケない本がたくさんある場所だと。
大人になったら絶対にここでエロアイテムを買いまくってやるぞ!と思っていた。
ちなみに彼女を作ろうとか、そういう発想は全然なかった。
もっというと、彼女を作ってヤるなんて発想はさらになかった。というか知らなかった。
(当時は、セックスというのは結婚した男女かAV女優がするもので、普通のカップルは貞操を守りあう関係だと思っていた。)




でもそんな、今まで目を背けていた自販機と、いよいよ向かい合うときが来たぞと。
俺はもう良い子のままではいない。それは性のアウトロー。中学生ながらにして、持ってはいけないエロアイテムを購入して
同い年の遥か先へ行ってやるぞ!と思っていた。


しかもちゃちなエロ本なんかには興味ねー、俺は本にはいかねぇ、ビデオに手を出す、と。
僕のリサーチによると、本は1000円、ビデオは2000円あれば買えるものがある。
これなら僕のお小遣いでも買える。

放課後、地元の駅を降りて一目散にその自販機に向かう。
だがその自販機、なぜか大通りのど真ん中の駐車場の一角にあった。

変に人目を気にする割には、僕は案外白昼堂々とそこの自販機に向かい、勃起を隠すことなく封筒から1000円2枚を挿入。
お札がシワっていて挿入に手こずる、そんなケースを完全に想定した上での、ドヤ顔でのピンピンの新札の挿入である。



だがここで想定外のアクシデンツ。日差しが強すぎてビデオのパッケージが良く見えない。
というか、明らかに不必要なまでの分厚いビニール的なのが自販機におもいっきり覆いかぶさっていて全然見えない。
たぶん未成年への配慮だとかそういうアレなんだろうが
そんな配慮をするくらいなら、そもそもこんな目立つ一等地に置くなよと思う。

だがこんなところであたふたしているところを誰かに見られるわけにもいかない。
何でもいいからボタンを連打。だが出てこない。なぜだかわからない。
冷や汗は積もる。いっそのこと逃げ帰るか?だがここまで来て引くわけにもいかない。
冷静に状況を見渡す。


そして気がつくは、札挿入部の側にある、免許証挿入口である。
想定の範囲外、絶望の幕開け、悲劇的結末、驚異的なトラップ。


ふと我に帰った。家からそう遠くもない、大通りに面した場所で
純朴美少年キャラを気取る僕が、エロビデオの自販機前で立ち尽くしていた。
こんなところを知り合いに見られたら一大事であり、6年間守り通したキャラが大崩壊である。

諦めてここは撤退すべき。そう判断した。
でも返却レバーをひねっても2000円が出てこない。
即座に、2000円も捨てることに。自分の守り通したキャラに比べれば安いものである。良い勉強になったと思えよと。

そして半泣きになりながら、「っけねぇ〜、これジュースの自販機じゃねぇのかぁ〜」
みたいな顔しながら、僕はその場を立ち去った。


これ以降、半ばトラウマになり僕はしばらくエロビデオ業界から足を洗うことになる。
ちなみに後日、免許書のいらないエロ本自販機の前で、やっぱり新札を挿入して、僕はホクホク顔で帰ることになる。



だがエロビデオは諦めきれても(そもそも、実のところ当時の僕の部屋にはビデオデッキがない)
オナニーに関しては諦めることができない。


ここまでで僕が得た情報は以下のとおりで
・オナニーとは擬似セックスのようなものである
・どうやらそれは手を用いるものらしい
・女の人の股間には、うんことは別の穴があるらしい
・ヤり続けていると、白い液体が出てくるらしい

という情報を統合し、僕は適度なサイズの穴を1ヶ月ほど探していた。
当時の僕はオナニーをするためには、チンコを挿入するための"穴"が必要である、という間違った判断を下していた。

そしてこの段階に来ると僕は完全に性倒錯を起こしていて
オナニーすることを考えるだけで勃起してしまっていて、完全に穴というものに対して欲情するようになっていた。

理科の実験とかに使う細いフラスコの穴から
黒板の下部分にある、チョークを落とし込むための穴
外で水撒きするときのホースの穴と
とりあえずそれっぽいサイズの穴を見るたびに
「これに突っ込めば俺もオナニーというのが出来るのではないのか?」とムラムラしてた。






そして紆余曲折を経て最終的にたどり着いたのが・・・


こちらの商品である



これは従兄弟がカナダ土産に買ってきてくれたメープルシロップの容器であり
僕はこれが食器棚に並んでいるのを見て、コレやと。
みんなこういうのを見つけてオナニーしてたんやなぁ、と思ったんですよね。
しかもこれならだしたあとの処理も簡単だ!ということで。




まあ僕はこれにちんちんを突っ込んで、フチのところでガリガリってなって、痛くて結局出来なかったんですよね。


後日僕も「別に俺は前からオナニーくらいしてっけど?」的オーラを出しながら
一応オナニー経験者(もちろんまだ精通していない)っぽく話に混ざって
「良い容器さがすのって大変だよなぁ〜」みたいな感じで言ったんだけど
今思うとあれは相当進んでいるヤツの発言にしかならなくって。
「別に普通に手ですればよくねww」とか言われて
「せやなw」とか言っちゃってたわけ。
たぶん言われた相手を戸惑わせていたのは間違いない。



僕が執拗に下ネタばっかり書いてるのは
こうやって本来健全にエロを育むべき年に
全然育めなかったからこんなことになってるんですよね。

だから高校生はアニメとか見ずにAVとか見てろよって思うわけ。
女の子はアニメとか見ずに、普通にガールズトークしてたほうがいいと思うわけ。

今日も僕の頭の中はエロでいっぱいです。
本当にエロでいっぱいです。

こういうのに蛋白そうな少年を気取ってるんだけど、エロでいっぱいです。